じわじわと、でも確実に変わってきてしまった現代日本のわかりやすい解説書『生存戦略としてのIT入門 自分で作るセーフティネット』

自分でつくるセーフティネット~生存戦略としてのIT入門~

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最近読んだ本の紹介。

著者の方はTwitterでも時々RTされてくるのを見かける方です。

この本、タイトルには「IT戦略」とありますが、Facebookを使わない人には実践的なアドバイスはいまいち活用できないかもしれません。
というのも、実践アドバイスのほとんどがFacebookを前提にしたものなので…

しかし、です。
Facebookをどう使うかという部分に固執しなければ、「現代日本はどのように変質してきたのか」ということを学ぶにはとても読みやすい一冊になっています。
本書は「生存戦略」「セーフティネット」という言葉に見えるように、「これまで王道で一般的とされてきた道を歩むには難しい人」が「いかにして死なずに生き延びるか?」という視点で過去、そして現在の日本社会の様相を解説した本、と私は捉えました。

村・田舎・会社という「箱=セーフティネット」を失いつつある我々はこれまでの「箱」を求める世界から、「ゆるい繋がり」へと変化していくべきだと著者は言います。
箱の中は「安心」があるけれど、「信頼」がない。箱の中に共にある人には優しいが、箱の外には残酷なほど厳しい。
これって、以前「中世人の苛烈さ」の記事で取り上げた『喧嘩両成敗の誕生』で言われていたことと似ている気がするんですよね。
意外と自分達が、「身内」と認定した人以外には驚くほど残酷であることを認識したらどうかと言う著者の考えには多いに賛同するところです。

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箱という絶対な存在に判断を委ねていられた時代の終わりは、ひたひたと確実に近づいていると思います。
ただそれは、箱というセーフティネットの完全消失を意味するわけではなく、むしろ箱に頼らない生き方ができるようになった=選択肢の拡大という風にも捉えられるのではないかなぁと。
湿り気の強い「絆」は、自らに合致した場所と距離感を見つけるまでは逆に凶器ともなり得ますからね…用意されていた箱に馴染めない、私もどちらかというと、そちらのタイプだったので、中高生の頃はネットの「ゆるい繋がり」に随分助けられてきたクチです。

箱の中から、もっと漠然と大きな「ゆるい社会」に母体が拡散したとき、そこには相互監視が起こるという危惧も孕みながら、それでも「善行も必ず丸見えになる」という所に、僅かでも希望を見出さずにはいられません。

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