『ヒロマサのお絵かき講座 』-歪んだ顔を手癖で量産してお絵かき楽しす心を失いかけていた私が救われた本の話


救われた、とかいうとちょっと大げさですけど、
本当にここ3年くらいの悶々から救われたので
私的救世主の本について書いておきます。

今回ご紹介する本はこちら、

【マンガ】ヒロマサのお絵かき講座<顔の描き方編> (廣済堂マンガ工房)




「ヒロマサのお絵かき講座<顔の描き方編>」です。
発売は2014年の7月なので、ちょうど一年くらい前の本ですね。


◆前置き

ここ3年くらい、絵をちょっと悩んでいました。

なんていうか、楽しくなくなってたんですよ。
いや、描いてる時は楽しいんですけど、
いざ出来上がったものを見てガックリくる。

創作やってる人ならたいていの人が経験するであろう、アレです。
自己流であがいてみてもなかなか治らないので、
だんだん絵は「話を書くために仕方なく描いてる」感じになっていってました。
うわぁ書くだにつれぇ。

小学生くらいの頃からキャラ絵みたいなのはずっと描いていたんですが、
そのあと大学二年くらいの時に知り合いに恵まれてめちゃくちゃ絵を描きまくってた時期があって、
その時に一度ものすごく上達を実感したことがあったんですよね。

そのあと、しばらく上達が見えない上記のような状態に突入してしまって、
描いてはいましたが半ば心が折れたような感じで過ごしていました。


◆手癖の治し方が分からない

描いている期間が長いと「手癖」って出てきますよね?
おかしいことはわかっているんだけど、どうしても自分の楽なように描いてしまうあの厄介な癖のことです。

私の場合、3くらい年前の劇的(当社比)成長以降、どうにも手癖で絵を描いている感覚が抜けず、困っていました。
治し方が分からなかったんですよね。
訳も分からずとにかくイメージを紙に下ろそうとしては手癖で描いて「ちがうこれじゃない絵」ばっかり量産していた感じです。
(ろくに調べずに描いていたというのもありますが)


◆「お絵かき楽しすってなんだっけ?」

で、そうなってくるとだんだん絵を描いている時に得られる快楽部分が萎えていくんですよ。
気持ち良くないから、描かなくなる。ますます下手になる。こうなるともう悪循環です。

ほんとなら、絵を描くことはとても気持ちいい。すごく気持ちがいいんです。別に誰に見せる絵でなくても。
描いてること自体が好きでないなら、こんなに長いこと続けていられなかったでしょうし。

しかし、手癖の壁に立ちはだかられ、
「脳内イメージを紙の上に描くの楽しい!!」「理想のあの子を描くぞ!」みたいな原始的な喜びはどこへやら、
「お絵かき楽しすとか上手く描ける人だけが言えることだぜ、ケッ」みたいに私はどんどんひねくれていきました。

ひところ流行った「上手い絵師食ウ、オレ、ウマクナル」みたいな言説も
わりと親近感を持って見ていたくらいにはぶっちゃけ「病んで」いましたね…
自分でもこれではいかんなぁと思いつつ、でも創作自体は好きなので、
「いっそ小説メインにして絵はちょこちょこと描くだけでいいかな」とか思って文章ばっかり書いている時期もありました。
(ていうかつい最近までそうでした)

そんな折、偶然っちゃ偶然なんですが、
ネットを徘徊しててこの本(ヒロマサのお絵かき講座)を見かけたんですよね。
中身のレビューなどをしているサイトを見ると漫画形式だし、なかなか面白そう。
これまでいくつも技法書に手を出してはなかなか有効活用できてなかった私ですが、
「そんなに高くないし、まあ買うだけ買ってみるか」と思って即日紀伊国屋にレッツゴー。
(イラスト関係の技法書で1000円くらいというのはかなり安い)

思えばこれがよかったんだと思う。
ステマくさいですが、あの時の自分の勘を信じてよかったと思っています。


◆目から鱗の「メンタル面講座」

ちょっとだけ立ち読みした段階から「あ、この本はなんかいける気がするぞ」という予感がしまして。
「体編」も併せて買って帰ってきて、その日のうちにまずは両方とも軽く最後まで読みました。

さてこの本、ほかの技法書と比較してもとりわけ
・漫画形式であること(読み物としてのおもしろさ=とっつきやすい)
・メンタル面についてかなり多く言及がなされていること

という点で優れています。

それまで私が買っていた技法書の多くは、
「描き方」「参考図」を載せてはいても、メンタル面に触れている本があまりなかったんですよね。

メンタル面に触れている本には、
イメージ型と思考型の練習法の違いから、思考型向けに「考えて描く」ことを勧めている、
「描けない!うまくいかない絵がビシッと決まる25の裏ワザ」

描けない!: うまくいかない絵がビシッと決まる25の裏ワザ (漫画バイブルゼロ)




「練習方法に固執しない」「どういう絵描きになりたいのかを意識する」「参考書マニアにならない」などの
アドバイスを記している「萌え絵の教科書 応用編」が挙げられますが、

萌え絵の教科書 応用編 (三才ムック vol.528)




それでもやはりメインは「技法の解説」なので、「大事だけど」と言いつつあまりページは割かれていない感じでした。

今回買ってきた「ヒロマサのお絵かき講座」では、このメンタル面に関してかなり重要視しているためか、
漫画の随所から「絵を描くことは考え方を身に着けること」というメッセージが見て取れます。
生徒役の助手ちゃんがひっかかる数々の「考え方」の失敗には、私にも身の覚えのあるものだらけでした。

本編講座の合間合間に挟まるページには、お絵かきを楽しく続けていくためのちょっとした格言(?)もあり、
そこでも「考え方が大事だよ」というメッセージが繰り返し伝えられています。

体編のほうで言われていることですが、この本は「模写をするためには作っていない」そうです。
「絵そのものを映すためじゃなく、考え方を真似るために映してくれ」とはシビれますね。


◆読んで起きた劇的な変化は「マインド」によるもの

まずは愚直に1つ目の正面顔の考え方からトライしていくことに。
一応作中の助手ちゃんよりはまだ人体っぽいもの描けるよwとなけなしの自信はあったのですが、
いざやってみると、前の自分の絵がいかに「何も考えずに描いていたか」が分かりまして…
それまで適当に取っていた「アタリの大切さ」にも、初めて気づかされました。

pixivなどで公開されている講座などでも、「顔を描くときは骨格を意識しよう」とよく書かれていますが、
「おかしい絵は骨格にあてはめるとこうなるからおかしく見えてしまうんだ」という
「なぜ微妙に見えてしまうのか?」の原因を逆説的に解説してくれることで、かえってわかりやすくなっています。
骨格を意識しよう!ではなく骨格を意識しないとこうなります!みたいな。

この本は、よくある綺麗な絵をサンプルにし「真似してください」というタイプの技法書ではありません。
のちのち、自分ひとりでも成長していけるように「土台となる考え方」を教えてくれる本です。

正面顔の回が終わると、ナナメ顔、横顔、年齢の描き分け…と続いていきますが、
「勘」で描いてがっくり来ないために、「ではどこに気を付け、何を直したらいいのか?」。
そしてそれを自分で発見できるようになるためのヒントが、1000円ではもったいないくらいに詰まっています。

長いこと手癖で描いては、おかしいけどどうなおしたらいいかわからなかった私にとって、
自分の絵を自力で(ある程度)修正できる基準を持てたのはかなり大きかったです。

作中の比率、手法を用いて練習を幾度か繰り返していくうち、
セラピーでもないですが、だんだんと描くのが楽しい気持ちが戻ってきたんですよね。

「ああ、自分にもちゃんと整った正面顔が描けるんだ」というじんわりした感動は、
本を買ったときには予想していないものでした。
人から見てどうかはわからないのですが、
講座の手法を取り入れたあと、自分の中ではグッと上達したな、という実感があります。

本書は「絵は、考え方と手順を間違わなければ描けるんだ」
「特殊技能ではなく、誰でも(自分にでも)できるんだ」
という
大きな希望を与えてくれる本です。
少なくとも、手癖に悩み絵を描くことの楽しさを忘れかけていた私にはまさに救世主のような本でした。


◆そして「体編」へ

今は、一通り体編のお題(?)をこなし、あとは慣れかなぁという段階に入ったので、
続編にあたる体編を少しずつ進めているところです。

さすがに体のほうはなかなか理解するのに時間がかかっていますが、
こちらは顔編に輪をかけて「考え方」に重点を置いているので、
一度身に着けてしまえばどこまでも成長していけそうなワクワク感がありますね。

【マンガ】ヒロマサのお絵描き講座<体の描き方編> (廣済堂マンガ工房)




体編のあとがきに「手や足、構図について触れた続編を鋭意執筆中」とのことだったので、
楽しみに待っているところです( ˘ω˘ )イツデルカナー


◆おまけ:丁寧な線を引くことの大切さ

この本の著者のヒロマサさんがpixivのページでうpしてらっしゃる講座、
【講座】 『一本の線を大切に』 (初心者向け)



こちらも大変示唆に富んだ講座だったので、ご紹介しておきます。

「早くいっぱい描かなきゃ上手くなれないじゃないか!」と暴れる(?)助手くんに対するアドバイスの
「焦りがアタリに出ると清書もそれに引きずられる」
「丁寧に線を描いたほうが実は焦って描くより時間がかからない」

あたりが目から鱗でした。
(助手くんお前は俺か…と突っ込みを入れたいほどよく気持ちが分かります…)
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